ビジネスコラム

中小企業金融円滑化法(1) - 最終期限をむかえ中小企業は経営改善が急務

2013/02/11|ビジネスコラム

中小企業の資金繰り支援のため、平成21年12月4日に中小企業金融円滑化法が施行され、中小企業は、金融機関に申出れば、借入金の元本返済の猶予(条件変更)などが 原則として認められるようになりました。

中小企業金融円滑化法の期限の最終延長

この法律は期限が決められている時限的な法律であり、これまで何度か延長をされてきました。

 

そして、平成23年12月27日には、最終延長として再度の延長が公表されました。

 

これを受け、平成24年3月30日に「中小企業金融円滑化法の期限を延長するための改正法」が第180回国会で可決成立し平成24年3月31日に公布・施行されました。

 

この結果、平成25年3月31日で、この中小企業金融円滑化法は終了するこことなりました。

中小企業は、経営改善を急がなければなりません

この法律の施行により、多くの中小企業が条件変更等の申請を行なって来ました。

 

平成24年3月31日(金融庁、速報値)までに、なんと166万件(企業および債権の重複有り)の申込みが金融機関に寄せられました。

 

この法律に守られ、これら条件変更等を実施した企業の借入金は、原則として金融機関から不良債権との格付けがなされてきませんでした。

 

しかし、今後この法律が廃止されると、条件変更等を実施した企業の借入金は、従来通りの厳格な査定が行なわれ、不良債権と認定される可能性が高まってきます。

 

不良債権に認定されれば、中小企業は、新規融資や、既存の借入金の折り返し融資(借り換え)をこれまでのように調達できなくなることが予測されます。

 

結果として、中小企業の資金繰りは、より一層厳しくなることが予想されます。

 

また、条件変更等をした中小企業等は、金融機関から経営改善計画書の策定および、経営改善の実施を求められることが一般的ですが、今後はこの経営改善計画の確実な実施をより一層強く求められることになります。

 

赤字企業や債務超過の企業が策定した経営改善計画が計画通りに進まず、業績の回復遅くなれば、不良債権に認定される可能性が高まります。

 

そうなると融資審査が厳しくなり、資金繰りが厳しくなるという悪循環に陥ります。

 

したがって、中小企業は、この中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえ、いよいよ本気で経営改善に取組まなければならないのです。

 

しかも、それはスピードを要求されています。

中小企業は、現状・現実を正しく認識し、経営改善に向けて前向きに進め

金融庁は平成24年11月1日に「金融担当大臣談話」を公表し、同法が終了した後も変わらない対応をするように、金融機関へ中小企業への対応への配慮を求めました。

 

一方で、経営改善の見通しが立たない中小企業は倒産させるべきだ。先送りにより、かえって日本経済の活性化を損ねている。生産性が悪い企業から資金を引き揚げ、その資金を成長が期待できるベンチャー企業等へ振り向けるべきだ。との論調も新聞紙上などから聞こえてきます。

 

いずれにしても、金融機関から借入金の返済猶予等の措置を受けている中小企業は不測の事態とならないように、自らの責任において経営課題を明らかにして、その課題を解決し経営改善を実行しなければなりません。

 

経営悪化の程度・状況にもよりますが、最低限、現状・現実を正しく認識し、経営改善に向けて前向きに進む方向性がなければ、残念ですが倒産・廃業など厳しい状況を迎えることもあることは、経済原則からしてやむを得ないことといえます。

中小企業金融円滑化法施行後の中小企業はどうなったか

NHKで、2013年1月28日(月)に放送されたクローズアップ現代において、
「“返済猶予”は何をもたらしたのか ~検証・金融円滑化法~」
と題して、2009年12月に施行された「中小企業金融円滑化法」により金融機関からの借入金の返済猶予を受けた中小企業が、その後どのようになっているのか。また、金融機関の中小企業の経営改善への支援の実情はどうなのかなどが、全国の金融機関や、東京商工リサーチあるいはコンサルティング会社への取材により明らかにされました。

 

それによると、全国で30~40万社もの中小企業が、金融機関から借入金の返済猶予等の支援措置を受けたが、実際には多くの中小企業で業績が改善されておらず、結局倒産に追い込まれた企業も増えているといいます。

 

本来、この金融円滑化法は、中小企業が返済猶予を受けている間に経営を改善することが前提となっています。

そのために中小企業は経営改善計画書などを作成し、それに基づいて経営改善をおこなう。

 

一方、金融機関はコンサルティング機能を発揮してそれを支えるというのがシナリオです。

 

しかし、NHKの取材では、コンサルティング機能などの中小企業支援にかなり力を入れている地 域金融機関においても、「管理事務が発生し、手いっぱいなのが実情。人材に限りがありすべての顧客に支援が回らない」、また、「資金繰りの相談はできても、売り上げを上げるなどの改善は難しい。どうやって本質的な経営改善を支援すればよいのか悩んでいる。」といいます。

 

 

「中小企業金融円滑化法(2) – 中小企業の経営改善のポイント」へ続く

西山真一
(資格) 社会保険労務士、中小企業診断士、ターンアランド・マネージャー他
いかにして人や企業の本当の力(潜在能力)を引出し、今以上のパフォーマンスを発揮していただくことにより、経営理念の実現や業績向上・組織活性化・人と企業の成長などのお手伝いができるかが、コンサルタントの仕事だと考えます。
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