人事労務Q&A

Q.就業規則とは

就業規則とは、その名称にかかわらず、使用者が定める労働条件や職場規律に関する規則類のことをいいます。 例えば、賃金規程、給与規定、育児介護休業規程や服務規程、慶弔見舞金規程、旅費規程なども就業規則ということになります。

また、正社員に適用する就業規則のみならず、パートタイマーやアルバイト、嘱託社員、出向社員など非正規型の社員についても、それぞれの社員に適用する就業規則が必要になります。

 

就業規則は、労働基準法の他、労働安全衛生法、労働契約法、パートタイム労働法、男女雇用機会均等法、その他の労働関連の法令や、民法その他の法令などを根拠にして作成しますが、 それ以外にも、企業の経営方針や経営者の考え方、社風、職場の慣習や伝統、労働組合や社員の要望など、 様々な事柄を考慮して作成します。

就業規則作成・変更時の留意点

労働基準法は、労働者の労働条件、待遇等に関する「最低の基準」を定めた法律のため、就業規則を作成するときは、労働基準法で定める基準を下回ることはできません。
(労働基準法第13条により無効になります。)

 

一方で、労働基準法で定める基準を上回る条件(労働者が有利になる条件。例えば、年次有給休暇の付与日数を年間25日にするなど)は、原則として自由に定めることができます。

 

また、社員ごとに賃金や労働時間などの労働条件を契約する「労働契約」は、就業規則に定める基準を下回ることはできないことになっています。
(労働契約法第12条により無効になり、その部分は就業規則で定める基準になります。 )

就業規則の記載事項

労働基準法では、就業規則に必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)、定めをする場合に記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)を、以下のように定めています。
(労働基準法第89条)

 

(1) 絶対的必要記載事項(必ず就業規則に記載しなければならない事項)
① 始業及び終業時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項。
② 賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期及び昇給に関する事項
③退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

 

(2) 相対的必要記載事項(定めをする場合に記載しなければならない事項)
① 退職手当に関する事項(適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項)
② 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額に関する事項
③ 食費、作業用品その他の負担に関する事項
④ 安全衛生に関する事項
⑤ 職業訓練に関する事項
⑥ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
⑦ 表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
⑧ その他事業場の労働者のすべてに適用される事項

 

(3)任意的記載事項
法令に定められた記載事項ではなく、記載するか否かが自由な事項です。
例えば、就業規則の目的、社是、社訓、慶弔見舞金、労働社会保険の適用などが該当します。

就業規則の作成と届出

労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成および所轄労働基準監督署長への届出の義務を課しています。
また就業規則を変更した場合においても届出が必要です。(労働基準法第89条)
なお、この場合の「常時10人以上」は、正社員数だけではなく、契約社員やパートタイマー、アルバイトなどの人数も含まれます。

 

また、就業規則を作成、変更する場合には、労働者代表等から意見を聴取し、前述の労働基準監督署への届出の際に、「意見を記した書面」を添付しなければなりません。
(労働基準法第90条)

 

この場合の労働者代表等とは、「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の 過半数で組織する労働組合がない場合においては、労働者の過半数を代表する者」となります。

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